日本代表監督ザッケローニ、本田と香川の使い道

日本代表が強くなるために避けて通れない課題です。それが2人の“10番”、香川と本田の起用方法です。2010年に日本代表監督に就任したアルベルト・ザッケローニと2015年から日本代表監督に働いたヴァイッド・ハリルホジッチ。

元日本代表指揮官ザッケローニ日本人の特徴を生かした、攻撃的なサッカーを貫いたザッケローニ、本田と香川という2人の10番タイプの選手を同時起用することにこだわっていました。

日本代表の戦術は2人の“10番”だ

2015年3月、前監督アギーレの解任を受けて招聘されたのが、2014年ブラジルW杯でアルジェリア代表を率いていた、ハリルホジッチでした。ザッケローニが率いたブラジルW杯はグループリーグで敗退しました。新監督に課せられたのはロシアW杯の出場を勝ち取ること、そしてグループリーグを突破することです。

日本代表の戦術を語る上で、カキとなる要素があります。それが2人の“10番”です。。本田圭佑と香川真司です。

本田は相手を背負ってもボールを失わずにキープし、攻撃の起点になれる、日本には珍しいタイプの選手です。ボールタッチも柔らかく、ミドルシュートを打てます。一方、香川は日本らしい選手といっていいだろう。技術と俊敏性を併せ持ち、スピードに乗った状態でのプレイを得意とします。フィジカルコンタクトは、本田ほど強くはない。どちらも10番、つまりトップ下としての資質を持っています。日本が世界と戦ううえで、突出したクオリティを持つ2人をどのように使うかは、監督によって好みが分かれます。

日本代表選手香川慎司技術と俊敏性を併せ持ち、スピードに乗った状態でのプレイを得意とする香川。ザックジャパンでは左サイドで起用されました。

2人を並び立たせたザツケローニ

2014年ブラジルW杯まで日本を率いたザツケロ—ニは、4-2-3-1を基本システムとしていました。4-2-3-1には、トップ下のポジッションは1つしかない。そして、ザッケローニは本田をトツプ下、香川を左サイドに起用しました。

当時ドル卜ムン卜でブレイクし、トップ下でのブレイに自信を持っていた香川は、ことあるごとに「トップ下で勝負したい」と繰り返しました。だが、ザッケローニは本田と香川を競争させることはなかったんです。「香川はデルビエロのようになれる」ザッケローニがモデルにしたのは、元イタリア代表のファンタジスタでした。デビュー時はトップ下だったデルピエロでしたが、プレッシャーの激しい中央では、創造性を発揮することが難しくなっていました。

デルピエロは、中央に比べるとプレッシャーの少ない左サイドにポジションを 移し、サイドで攻擊の起点を作って、ゴール前に入っていくスタイルを身につけました。ザッケローニは、香川に”デルピエロク”のイメージを重ねていたのだろう。

だが、文字通りピッチの王様として存在感を発揮した本田に対して、香川はドルトムントでプレイしている時の輝きを放てないでいました。ザッケローニは香川にこうアドバイスしました。「幅を作ってから、中に入っていけ」トップ下こそが自分のポジションと思 つている香川は、左サイドからすぐに中央に入ってきてしまいます。

日本代表選手本田圭佑

日本人選手の中では、突出したフィジカルコンタクトとキープ力を誇る本田、左足から放たれるミドルシュートも武器です。

香川が中央でプレイする時間が長くなると、左サイドの高い位置に誰もいない 状態になります。ウィングにはボールに触らなくても、ディフェンスラインを広げるという仕事 があります。サイドの高い位置をとることで、相手ディフェンス(主にサイドバック)のマークを引きつけます。そうすることで、ディフェンス同士のスペースが広がり、崩しやすくなるのです。

ザックジャパンが良い試合をする時は、本田と香川が良い距離感を保っているときでした。ライバル韓国に3-0で勝利した2012年の札幌ドームでの試合や、コンフェデレーションズカップのイタリア戦で4ー4の打ち合いを演じた2013年の試合が典型的です。香川がサイドに開いた位置から、タイミングよく中央のスペースに侵入し、本田とのコンビネーションで崩しにかかります。

日本代表選手岡崎慎司狭いスペースでも正確にボールをコントロールでき、相手の裏を突くアイデアを持っている2人のコンビは、ザックジャパンにとって唯一無二の武器でした。ただし、この戦術は“諸刃の剣”でもあり、香川が中央でプレイするということは、ボールを奪われた時に、左サイドが穴になりやすいということです。なおかつ、日本は左サイドバックの長友佑都がマイボール時には、積極的にオーバーラップを仕掛けます。

攻め込んだ状態でボールを奪われて、素早く左サイドにボールを展開されると、ディフェンスの対応が間に合わない。ブラジルW杯のコートジボワールとの初戦で喫した2失点は、どちらも左サイドを突かれたものです。

ストライカーの岡崎。ザック時代は右のFW、ハリル監督のチームではCFの起用が多い。

コートジボワールのラムジー監督は、日本の弱点を分析して綿密に戦力うぃ立てていたといいます。「自分たちのサッカーで世界を驚かせる」ザックジャパンは相手の良さを消そうとするよりも、自分たちのパフォーマンスの最大値を出そうというスタンスで臨んでいました。

日本代表選手長友佑都日本人の良さを生かした、早いテンポのバス回しと連動したバス回し。自分たちのサッカーができれば強豪国にも勝てると……

だがW杯前、本田と香川はクラブでパフォーマンスを落としていました。それでもザッケローニは2人の同時起用にこだわりました。2人の”10番”が輝けなかったとき、ザックジャパンが惨敗するのは必然だったのかもしれない。

左SBの長友は圧倒的なスタミナで、ザックジャパンの最大の武器「左サイド」を支えました。

ザッケローニJAPAN

(2014年ブラジルW杯基本システム)

2011年のアジアカップで優勝したメンバーがベースになっています。左サイドの香川と、トップ下の本田が攻撃の軸。ダブルボランチは長谷部と遠藤が不動のコンビでしたが、W杯前に運動量豊富な山口が台頭しました。

2014年ブラジルW杯基本システム

Add a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です